6.タイ東北部の知識

東北部独特の仏教建築様式や伝統文化や先史時代の遺跡が残る「北の町」ウドーンターニー、90年代に恐竜の化石が発見されたことで話題を集めたコーンケーン、シルクや陶器の伝統工芸やクメール王朝(現在のカンボジア)時代の貴重な遺跡群が残るナコーンラーチャシーマー(通称コラート)、東はラオス、南はカンボジアに接するムーン川沿いのタイ最東部の都市ウボンラーチャターニー(通称ウボン)に関する基礎知識を学ぶことができます。

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タイ東北部はこんなところ

なだらかな高原地帯が広がる東北部は、北はメコン川を境にラオス、南から東はカンボジアと国境を境に資、20件もの県が集中する広大なエリアで、国土の約3分の1を占めます。タイ東北部全体は「イサーン」と呼ばれ、見渡す限りの大平原と田園風景が広がるのどかなエリアです。バンコクからの拠点は南部では、ナコーンラーチャシーマー、ウボンラーチャターニー、北部はウドーンターニーなどです。南部方面にはピマーイ遺跡をはじめとして古代クメール遺跡が点在しており、一方、北部の国境地帯からメコン川にかかる橋を渡り、ラオス・ビエンチャンを訪れることもできます。

イサーンイメージ画像

スパイシーながら素朴な味わいのイサーン料理

イサーン料理は全体的に唐辛子の辛みが強いのが特徴です。料理には野菜やハーブの盛り合わせが付くことが多く、代表的なものに「ソムタム」と呼ばれる青いパパイヤのサラダがあります。他には、豚の内臓・地産の野菜・レモン・唐辛子を混ぜて食べる、東北スタイルのユニークな細麺のライスヌードル「カーオ・プン」。ウドンターニーではイサーン特産のハムを挟んだフランス風パンとカイ・クラタ―と呼ばれるフライド・エッグにコーヒーという欧風スタイルの朝食を食べることができます。

ソムタム

タイ料理のお供に、タイ産ワイン

食事と一緒に楽しみたいアルコール類。タイ料理にはやっぱり地元で作られるビールやワインをお供にしたい ものです。フルボディのタイ産ワインはスパイシーなタイ料理との相性も抜群。カオヤイ国立公園の周辺は、昼夜の寒暖差や水はけの良い、ぶどう栽培に適した土地条件を活かし、ワインが醸造されるようになりました。中でも有名なワイナリーは、グランモンテ、PBバレー、アルシニディです。

ワインイメージ画像

世界中から観光客が訪れるイサーンのお祭り

イサーンでは独自のスタイルを持つお祭りやイベントがあります。代表的なお祭りはヤソートンで開催されるブン・バンファイと呼ばれるロケット祭りです。豊穣をもたらす豊かな雨を乞う儀式として催され、埼玉県秩父市とも交流があることから多くの日本人観光客が訪れます。ほかにも、ルーイ県ダンサイ郡で開催される有名な仏教説話をもとにしたピー・ター・コーン・祭り、ウボンラーチャターニーの郷土職人の技術と宗教的な捧げ物の展示が見どころのキャンドル・フェスティバルなどがあります。

ピー・ター・コーン・フェスティバル
©iStock.com/LightCooker

また、カオプン・ブンパウェットは盛大なお祭りで、毎年3月の第1週末にローイエットで行われる仏教得度式です。期間中は、僧侶による説法をはじめ、パレード、郷土芸能が披露され、東北地方の麺「カーオ・プン」を食べて祝います。また、先端に黄金の飾りを持つ57もの仏塔がナコーンパノムのシンボルとなっているプラ・タート・パノムでは、1月から2月にかけて7日7晩の祭りが開かれます。ほかにも、スリンでは毎年11月に200頭を超す象たちが集まるスリン象祭りが開催され、カラフルにお化粧された象のパレードを一目見ようと世界中から多くの人々が訪れます。

スリン象祭り
©iStock.com/urf

クメール遺跡が眠る -南イサーンの魅力-

南イサーンは、東北地方の玄関口といわれるナコーンラーチャシマー県やブリーラム県、スリン県、ウボンラーチャターニー県を指します。この地方は、ナコーンラーチャシマー件を中心にタイシルクとして知られるほか、クメール帝国の影響が色濃く残るピマーイ遺跡やパノムワン遺跡などのクメール遺跡が点在しています。

パノムワン遺跡

自然の美しさと仏教徒の伝統が受け継がれる、ウボンラーチャターニー

ウボンラーチャターニーは、東はラオス、南はカンボジアに接するムーン川に沿ったタイ最東部の都市です。国境沿いに断崖絶壁からの壮大な景観や先史時代の壁画、磨崖仏が点在しています。自然の美しさ、強い仏教徒の伝統とともに脈々と受け継がれている歴史や文化など、タイ東北部の魅力を五感で感じ取ることができます。市内から120km、車で2時間ほどの距離にあるサム・パン・ボークはタイのグランド・キャニオンとも呼ばれ、「3,000個の穴」という意味です。「ボーク」というのはタイ東北地方の方言または、ラオス語で「穴」という意味です。メコン川の浸食により変形した雄大な河床の岩盤は、メコン川が乾季の時にのみ現れます。浸食された数々の穴は様々な形を成し、犬の頭や星、亀などに見えます。また、ディズニーでお馴染みのミッキーマウスの顔にそっくりな穴もあると言われています。

サム・パン・ボーク

県内のケーンタナ国立公園は、クメール語で「罠」という名を持ち、メコン川とムン川の豊かな自然に囲まれた公園です。園内にはキャンプロッジも整備されており、近年ではエコツアーなども盛んです。入口正面には「Tana Rapids」(死の岩棚)と呼ばれる入り江があり、険しく切り立った岩底とその間に密生する木々のため、かつては多くの船がここで沈没したと言われています。休憩所には世界最大の石造りのテーブルとイスが設置されています。

ケーンタナ国立公園

パー・テーム国立公園は、岩盤と森林に覆われた高原に広かる340平方キロメートルもの広さを持つ自然公園です。断崖の上から見下ろすメコン川流域の景観は絶景で、季節になると岩の平原一面にさまざまな植物が花を咲かせます。公園入り口近くにそびえ立つキノコ型の岩は、表面に貝殻の化石が張り付いていて、古生代はここが海面下であったことを今に伝えます。なかでも見所は、断崖絶壁に描かれた壁画で、3000~4000年前の人々の生活を表したものが300以上発見されています。

パー・テーム国立公園

イサーン地方ならではの人々の温かみ、のどかな風景、自然を楽しむことができる、ナコーンラーチャシーマー

市内から北東へ約60キロメートル、クメール遺跡の流れを汲み、アンコールワットの原型と言われるのがピマーイ歴史公園です。11~12世紀ごろタイ東北部一帯に勢力を拡大したクメール王朝により、石造神殿が建設されました。堀に囲まれた565メートル×1,030メートルという大規模な敷地、正面が南のクメールの王都に向いていたことなどから、当時タイ東北部に点在していた小国家とクメール王朝をつなぐ宗教的な結節点だったと考えられています。回廊には4つの門があり、神殿内の中心部にはクメール風の顔立ちをした仏陀やヒンドゥー教の神々の姿が生き生きと彫られています。

ピマーイ歴史公園

県西部には、ユネスコの世界自然遺産として指定されたカオヤイ国立公園が広がります。全体の約85パーセントが森林におおわれている園内は、高低差約20メートルのヘーウ・ナロックをはじめ、ヘーウ・スワット、パー・クルアイマーイなど数多くの滝によるダイナミックな景観が広がります。また、野生の象やトラ、サンバー、ホエジカなど67種類以上の哺乳類動物、希少なサイチョウやジアリドリなどを含む320種以上の鳥類、東南アジアならではの美しい蝶など約216種以上の昆虫類が生息していることでも有名です。

カオヤイ国立公園

カオヤイ国立公園の近くには、アジア最大級の規模を持つ酪農牧場チョクチャイファームがあり、搾乳などの酪農体験や、アニマルショー、乗馬などが楽しめます。場内のレストランではステーキやフレッシュミルクを使ったアイスクリームが人気で、週末にはバンコクなどからの家族連れで賑わいます。

ブリーラム県

パノムルン歴史公園は17年に及ぶ復旧作業の後1988年にオープンした歴史公園で、死火山の山頂に位置し、最も保存状態がよいクメール遺跡です。パノムルンとはクメール語で「大きな丘」を意味し、晴天時には境内からカンボジアとの国境にあるドンラック山脈がおぼろげに見えます。ピマーイ遺跡と並び、最高峰の建築物と称されています。15の戸口の間から朝日が直線的に差し込む朝日が見られる年に一度開催されるお祭りは「パノムルン・フェスティバル」と呼ばれています。 ムアンタム遺跡は、11世紀に建設されたバプーオン様式の寺院です。パノムルン歴史公園のある死火山から南東に5キロメートルほど行った麓あります。建造物は砂岩で作られており、装飾にはテラコッタタイルが用いられています。回廊の四隅にはL字型の池が作られており五頭ナーガの彫刻が刻まれています。入り口の斜め向かいには小さな資料館があり、昔の遺跡の写真などが展示されています。

パノムルン歴史公園

シーサケート県

カオプラヴィハーン遺跡は、カンボジア領ダンレック山脈の山頂に位置し、その特殊な立地条件から軍事基地、要塞としても使われていた遺跡です。タイとカンボジアの国境上にあり、境内はカンボジア領地ですが、タイ側のシーサケートからしか入ることができません。10~12世紀にかけてクメール帝国によって建立された寺院で、カンボジア大平原が地平線まで一望できます。近年は両国の領有権争いで軍による交戦もあり、仮に閉鎖が解除されても個人行動は避け、ガイド付きのツアーで訪れることをおすすめします。 また、近隣のパー・モーイデーンは、カンボジア領の広大な平原と森林が広がる絶壁です。カオプラヴィハーン遺跡の駐車場から左側に延びる道を上がった所にあります。谷を挟んでカオプラヴィハーン遺跡とカンボジアの大平原を一度に見渡せます。岩壁には11世紀中頃に掘られたという3体の仏像を見ることができます。

パー・モーイデーン

民族文化と伝統のるつぼ -北イサーンの魅力-

広大な土地を有する北イサーンは、経済や教育の中心地となるコーンケーン県をはじめ、先史時代の遺跡が発見されたウドーンターニー県、ラオスのビエンチャンを結ぶタイ・ラオス友好橋で有名なノーンカーイ県、1億3千年前に生息していたといわれる恐竜の化石が発掘されたカラシン県などがあります。また、メコン川沿いに発展したエリアでは様々な民族文化と伝統が入りまじり、なかでもラオス文化の強い影響を受けています。

タイ・ラオス友好橋

紀元前に遡る先史時代の遺跡群が点在する街ウドーンターニー

ウドーンターニーは、バンコクから北北東へ約560キロメートル、サンスクリット語で「北の町」と名づけられた都市です。タイ東北部ほぼ全域に広がるコラート高原の北側に位置し、農業地帯に囲まれた商業都市の中心地である一方、数多くの先史時代の遺跡が残るなど、古代からの歴史が刻まれてきた地でもあります。1992年に世界文化遺産に登録されたバンチェン遺跡は、紀元前2500年から2000年にさかのぼるといわれる先史時代の貴重な遺跡です。バンチェンの人々は、国陶、文様陶器、彩色陶器という3つの時代に分けられる稲作・農耕文化をもち、陶器技術も発達したと言われています。隣接するバンチェン国立博物館には貴重な出土品だけでなく、発掘の様子を再現したジオラマなども展示されています。

バンチェン遺跡

プー・プラ・バート歴史公園は、ウサの塔と呼ばれる奇岩で知られる全長9キロメートルの細長い歴史公園です。浸食作用によって自然にできた、不思議なバランスで折り重なる巨大な岩々は、先史時代に人々の住居として利用され、岩肌には当時の壁画や人々の手形などが残っています。またプー(山)、プラバート(聖足跡)という名にもあるように、9~11世紀には仏教の祭事を執り行う場としても使われ、風化した仏像や巨岩を取り囲んで立つ結界石などが神秘的な雰囲気を醸しています。12キロメートル南方にある小さな寺院、ワット・プラタート・プラ・プッタバート・ブアボックには、仏足石が奉られています。ウドーンターニーは、ベトナム戦争時には米軍基地があったため道路や空港の規模が大きく、今後の発展が期待されています。

プー・プラ・バート歴史公園

恐竜、手織りシルクなど新たな観光地として注目を浴びるコーンケーン

タイ東北部で2番目の大きさを持つ県コーンケーンは、1964年にタイ東北部で最初に設立された唯一の総合大学のある学園都市として栄え、通りは若者でにぎわっています。また、先史時代の壁画が数多くあり、ジュラ紀の恐竜の化石が発見されたことで知られるプーウィアン国立公園は、325平方キロメートルの広さを有し、約1億3千年前のものと考えられる恐竜化石や足跡化石などが1976年に発見されました。公園から約3キロメートル離れたところにはプーウィアン恐竜博物館があり、恐竜の骨格のほか、実物大の恐竜がいるジオラマが展示されています。また公園内では発掘現場も見学できます。

恐竜の足跡

涼しさを感じて。美しい花、山、文化がある国境の町。ルーイ

ピーターコーン祭りは、ルーイで毎年7月に行われるイベントで、有名な仏教説話をもとにした祭りです。崇高な仏像について行く精霊に仮装した若者が繰り広げる色彩やかで活気に満ちたピーターコン・パレードやマスク(コン)・ダンスのコンテストなどが見どころです。

ピーターコーン・フェスティバル
©iStock.com/9_Banjerd

アムナットチャルン県

ブン・クーン・ラーン祭りは、東北地方におけるポーソップという米の神様に収穫を感謝するため行事です。「ブン」は「増やす」、「ラーン」は「稲の刈り取る広場」という意味で、「出来上がった米を積み上げること」を指しています。毎年1月に行われますが、米の収穫時期により日程は地域によって異なります。

ブン・クーン・ラーン祭り

サコーンナコーン県

プラ・タート・チュン・チュムは、約2000年の歴史を持つ王宮守護寺院で、4つの仏が祭られています。蓮のつぼみを形どった24mの白い仏塔が特徴的でひときわ目をひきます。

プラ・タート・チュン・チュム

カラシン県

サハットサカン区から7キロメートル離れた所に位置するワット・プー・カオは、自然に囲まれた静かで落ち着いた寺院です。ここに奉られている黄金のねはん像は通常と違い、左側を下にしている大変珍しいものです。また、プー・クムカオはタイで最大規模の恐竜化石が集中する場所です。市街からハイウェイ1227号線で30km、右折後ワット・サッカワン方面へ1km。鉱物資源局は、現在では全て揃った骨格をはっきり見られる数エリアを発掘。ほとんどは大きく、首長、草食、竜脚類で約1億3千年前に生息していたと考えられます。市街地から約20キロメートルの所に位置するプラ・タート・ヤークーは、この地域で戦後唯一残っているクメール式の仏塔です。周囲に建っている石柱には仏教の教えや逸話が彫り込まれており、毎年4月には雨の恵みを願う儀式が行われます。

ワット・プー・カオのねはん像

ノーンカーイ県

ワット・ポー・チャイは、ノーンカーイで最も信仰を集める寺院であり、人気の観光スポットでもあります。ラオスのランサーン王朝の流れをくむご本尊が有名で、寺院内の壁画には、ご本尊の由来などが丁寧に描かれています。また、かつてメコン川に沈んだご本尊を懸命の捜索の末に無事発見し、再び納めたという言い伝えは、地元の人々の厚い信仰心を感じずにはいられません。まさにノーンカーイを代表する寺院です。

ワット・ポー・チャイ

2011年に誕生したタイ77番目の県。ブンカーン

ブンカーン県は、2011年3月23日に誕生したタイ77番目の県で、ラオスとの国境沿いに位置します。メコン川に接し、豊かな自然に囲まれた地域で、カボチャの栽培などで知られています。30mの高さを誇るタンティップ滝など、県内に多数点在する滝が見所です。